トマト栽培施設使用料3億余を市が債権放棄することに反対

安曇野市議会は債権放棄(支払い免除)の議案を可決

市民タイムス2010年12月23日記事
市民タイムス2010年12月23日記事
 議案第127号 債権の放棄(支払い免除)について、私は反対の立場で討論しました。ほかに下里議員、松澤議員も反対討論を行いました。
債権放棄に賛成討論したのは、浜議員、大月議員、丸山議員、藤原議員、青嶋議員の5名。トマト栽培施設の使用料の債権放棄し、今後の使用料も免除するならば、安曇野菜園の後を引き受けようという農業生産法人が手をあげてくる可能性がある、今は責任問題など追及している場合ではないというのです。
これまで、だらだらと見逃し続けてきた者にとっては、いつ責任追及しようがどうでもいいことなのでしょう。「一件落着」したところで責任追及しても、「まあ、何とかなったんだからいいじゃないか」で終わってしまうでしょうね、嘆かわしいことです。
以下、小林純子の反対討論です。◆議案第127号 債権の放棄(支払い免除)について反対の立場で討論します。
菜園は当初7000万円と決めた施設使用料を過去一度も支払っていません。今年度から減額して年2500〜3000万円、計7億5900万円を支払う契約でした。しかし経営不振の菜園が払える見通しはなく、農業法人など民間へ経営譲渡する計画に差し支えるとして、市は債権の全額免除方針を決めました。2011年度以降の使用料4億4000万円も指定管理契約の変更で免除する方針とのことです。

市長からは「年間7000万円の施設使用料は一般常識ではありえない」との答弁もありましたが、だとすれば、「毎年7000万円の使用料が払えるほどトマトは儲かる、その儲けで村が借りた地方債の償還ができる」という旧三郷村の事業計画そのものがデタラメだったということになります。この事業採択のプロセスに行政責任があることは明らかです。
施設使用料7000万円に関わる債権放棄の問題は、まさにそこに根本的な原因があるのであって、三セク安曇野菜園の経営責任を問う以前の問題です。「経過はともかく、払えないものは払えないんだから」ではなく、今こそこの行政責任を認めて何らかの形で責任を取らないかぎり債権放棄はありえません。

市長は、「今は菜園の民間譲渡を最優先させなければならず、この状況のなか責任問題を追及することは難しい。菜園の清算が終わり次第、第三者委員会を設置し責任問題について調査し、市としての対応を決める。」と言っていますが、責任問題を後回しにして、一方的に市民負担を強いることになる債権放棄など、認めることはできません。
市長はすでに「旧三郷村の事業計画は甘かった、トマト栽培事業は失敗だった」と認めました。事業採択にはまったく関わっていない宮沢市長だからこそできたことだと思います。間違いを認めることはなかなかできることではありません。その点は評価します。しかし、失敗を認めたその次には、行政の責任を明確にしなければなりません。その責任の取り方の一つとして、今すぐできることは、損失補償契約は違法・無効であるとする高裁判決を受け入れ、上告の取り下げをすることです。こんなデタラメな事業に損失補償をした自治体(旧三郷村〜安曇野市)に責任がないなんて、市民のいったいだれが納得するでしょうか。

つい先日も「当時の三郷村長と県の農業開発公社が取り交わした覚書」の問題、安曇野菜園の所有地に設定されている「根抵当権」の問題など、新たに明らかになりました。後からあとからポロポロと問題が出てくる現状では、責任追及を後回しにしていてはさらに問題解決を遅らせることになるでしょう。きちんと責任の所在を明らかにすることなく、債権放棄や財政支援などとても認めることはできません。市民に「債権放棄」をお願いするなら、最高裁への上告を取り下げてからにしなければスジが通らないというものです。
よって、債権放棄の議案には反対です。