市民と議会の意見交換会 初の試み3日間

~安曇野市を考える市民ネットワークからのレポートをいただきました~

 「市民と議会の意見交換会」3回開催して昨日終わりました。市民の参加は延べ32人、予想外の低調さに驚きました。議会だよりや市の広報を利用してお知らせしても、これだけしか来ていただけない。これは、議会に対する「無関心」というより「期待度ゼロ」の表れではないでしょうか。意見交換会で語られたことはもちろん、これだけの参加しかなかったということを、議員はもっと深刻に受け止めなければならないと思います。
 貴重な32人の市民参加のなかから、安曇野市を考える市民ネットワークのレポートをいただきましたのでご紹介します。

◆市民と議会の意見交換会 初の試み3日間/市民ネットから6人参加
  安曇野市議会は2012年8月の21、24,25日の3日間、「市民と議会の意見交換会を開いた。議会改革検討委員会(松森幸一委員長・13人)が来夏制定をめざす議会基本条例、さらに9月定例会で予定される議員定数条例制定へ向けて「市民に開かれた議会」を目指して初めて試みた意見交換会だった。望ましい定数について市民アンケートをするなど、大胆な手法も採り入れたが、準備不足で回収率が低く、意見交換会への出席も3日間で計32人と少なかった。安曇野市を考える市民ネットワークからは6人が参加した。議論がもっとも活発だった2日目の意見交換会を要約する。

【三郷・男性=市民ネット会員】
 アンケートは自宅に配布されず、議会事務局に取りに行った。調査期間が短く、周知されなかったのではないか。
①議員数は、定数議論の前にまず議員の役割をどうとらえてるかが問題だ。仕事が28人フルに働き目いっぱいなら、それだけ必要であり、あまり活動していないなら、28人も要らない。具体的には、百条委など調査権の行使はなされたか。議決行使にあたって行政への意見書はどの程度だされたか。
②今年初め、私たちは議員1人ひとりに活動状況をアンケート調査した。きちんと答えたのは3人。理由を説明した不回答者3人、大多数はなしのつぶてだった。会場入り口で私たちが集計した「安曇野市議3年間の発言状況」(左下の表)を配った。質疑・討論ゼロの議員が何人もいる。議員の仕事をまっとうしていない。28人も要らない。


 ③発言回数は、院内会派の存在と関係する。議長副議長選など議会人事に絡み、ほんらいは政策で組まれる会派が人事絡みとなり、多数派は議長への思惑から発言が少なくなるのではないか。議長人事は選挙でなく、たとえば得票順などシステマティックな方策をさぐるべきだ。
④アンケートのご意見欄のとりまとめを急ぎ、9月議会前に公表してほしい。

【松森議会改革委員長】
 たくさん質問いただいた。お答えの前提として今日の会、議会改革の基本を説明する。我々は選挙で選出されたが、一人ひとり意見が違うし、活動も異なる。そこで、合議体としてどうあるべきか、検討を進めている。ご回答できぬ部分もあります。調査権については、百条委はない。意見書は調べている。また、委員会のなかに目的による調査委を設けている。委員会は通年調査をやっているつもりです。本会議での発言回数は会派ごとの差もあるようだが、本会議は議案質疑をし、委員会で意見を述べて採択となる。発言回数調査は評価できる試みだが、委員会の発言調査もしたらどうか。会派との関係でいえば、質疑討論も会派として打ち合わせ、代表が質疑する。個人活動プラス会派のすりあわせもある。ご理解願いたい。議長選は公正に決めている。回答は控えたい。市民アンケートは、6割がご意見を記入している。傾向などまとめる。

【豊科・男性】
 議会の機能を高め、市民に説明責任を果たす改革は大いに結構。しかしアンケートには二つ疑問と意見がある。 ①配布部数36,800通、回答775、回収率2.1%。これではアンケートが有効か、疑問だ.参考にすべきでない。98%が回答していない。こういう想定をしておらず、もらったから参考にするのでは問題だ。調査は無効である。 ②内容も問題だ。3減,4減、どっちがよいか、市民が決められるか。判断材料を持っているだろうか。定数の妥当性は市民の声が十分議会に達しているかどうかにある。アンケートの選択肢、ゼロから3減、4減、恣意的意図を感じる。半年ぐらい準備して、市民の声が議会に反映しているかを調べるアンケートをしたらどうか。

【松森委員長】
 アンケートについては、これまでいろいろ指摘をいただいた。1週間の調査期間、広報に挟んだやり方、委員会として事前に検討した。いろんな抽出方法もあるが、委員会としてなるべく多くの人に呼びかけることにした。「無効」については、アンケートに「議会改革の参考にする」と記したうえで定数を4択で聞いた。「参考にする」を「無効」というわけにはいかない。ただ、アンケートは方向を決めるための方法とは考えていない。これをもって多数とか、議会決定とかにしない。市民の意見をどう聴くか。まずアンケートしてみようと、不備があるものの、やった。2%が有効か無効かではなく、参考にする。今後は議会報告会を開いて、議決責任、説明責任を果たすことを考えている。アンケートは第一歩の試みだ。

【明科・女性=市民ネット会員】
 きょうが第一歩。期待したい。市議会だよりは来たが、アンケートはがき部分がなかった。私は出してないから、2%には入っていない。この意見交換会には早く出たかったが、前回は平日昼間。きょうは土曜夜なので仕事を交代してもらい、出られた。分からないことは多いが現状説明してもらい、知ることができた。入口に立った思いです。私はいま福祉関係の仕事をしていますが、請願書を出した時も委員会の議員はだれ一人現場に来ませんでした。さきほど「調査している」「個々の議員がそれぞれ」とか、説明がありました。いったい誰に訴えたら、どう動くのか。「参考にする」信じられない。実際どう動いたかです。
 スウェーデンの議会は夜ひらきます。議員は無給、ボランティアです。安曇野では仕事を抜け出すか休まないと傍聴もできない。なまで議論を聴きたい。議会を夜やってほしい。あるいは議員を身近に考えられるような報告会もやってほしい。困っている人、苦しんでいる人はいっぱいいます。ぜひ有意義に税金を使って働いてもらいたい。

【松森委員長】
 傍聴できる時間帯を考えてみます。

【豊科・女性】
 平成の初め、グループで地方自治について学び、議論しました。指導教授は「議員の半分は女性にするべきだ」「区や地域から出る時代じゃない」と言いました。9年たち、何にも変わっていません。安曇野市のことをほんとに考えてくれる人が欲しい。いまの議員、何をやってくれるのかわからない。28人のうち、(活動が見えるのは)せいぜい2人ぐらいしかいない。

【松森委員長】
 地域から出た議員にも当然いくつかの役割がある。地域以外にもいろんな出方がある。議会総体として地域とどうかかわるか。議員個々の対応がある。

【堀金・女性=市民ネット会員】
 議員は多いほうがよい。ただし、報酬は半額で。夜に開会することを希望します。アンケートは「やったぞ、聞いたぞ」ではいけない。半強制的に集めたらどうか。

【松森委員長】  ご意見としてお聞きします。

                   ◆

 全体として、意見交換会、市民アンケートともに、会派あるいは議員によって相当な温度差があり、議論を詰めないまま、腰が据わらぬまま実施されたことがよく分かった。せっかくの機会をもっと大切にし、芽を育ててほしいという印象だった。 (まとめ・横地泰英)