立候補するなら今こそ知るべし安曇野市議会基本条例

~名誉職議員や市長追従議員はいらない~

 安曇野市議会では長い議論と検討を経て議会基本条例を制定、この7月1日から施行となりました。文字通り議会と議員の活動原則等の基本を定めたのが議会基本条例で、市民の福祉と市政発展に寄与する議会となることを目的としています。
 ですから、当然ながら、これから市議会議員を目指そうという方々には、ぜひこの議会基本条例に一度は目を通しておいていただきたいのです。名誉職感覚ではとても勤まる仕事ではないことに気付いていただけるずです。

 さて、今日の記事はちょっと古いものですが、議会基本条例にちなんで引っ張り出してきました。今年の1月から2月にかけて「安曇野市議会基本条例素々案」の市民説明会・意見交換会を開きましたが、その時に私が受け持った条例解説の導入にあたるものです。
 これ、5回の開催のうち2回やったところで、同僚議員からクレームがついてボツになったものです。なぜボツになったのか考えながら読んでいただくのも一興かと思います。(私としてはボツになったのは不満でしたが)

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 安曇野市議会基本条例の説明に入る前に、地方議会の基本について押さえておきたいと思います。
 地方自治法第89条には、「普通地方公共団体には議会を置く」と定められています。この自治法を根拠に自治体は議会を運営しています。地方自治は、民主主義の学校と言われますが、民主主義の基本である直接民主主義、つまり「自分たちのことは自分たちで決める」ということ、これが自治の基本です。そうした自分たちでものごとを決める仕組みを持った地域社会、それが自治体ということになります。

 こうした地方自治の規定は戦前の大日本帝国憲法にはなかったものです。戦後、ようやく日本国憲法に地方自治が規定されたのです。
 戦前は地方名望家政治ともいわれ、資産家、実業家、豪農、庄屋・名主を務めた旧家などから議員が出ていました。選挙権にも制限があった時代であり、地方議員は名誉職で報酬もなかったのですが、もともと特権階級であったといえます。
 戦後まもなく1945年(昭和20年)12月、女性参政権を含め完全普通選挙が認められました。昭和22年には地方自治法が施行され、民主主義の時代になりましたが、戦前の地方名望家政治の名残が今に続いていることは否定できません。

 昨年8月に安曇野市議会が行った市民アンケートでは、首長のやることにお墨付きを与えるために存在するような議会や議員ばかりで、行政のチェック機能を果たしていない。名誉職議員はいらないと痛烈な批判をいただきました。  「意識改革は難しい、人の心はなかなか変えられない。まずは制度改革、仕組みを変えることが大事」ということで、議会基本条例の制定の意義は大きいと思います。

 もうひとつ、議会基本条例の制定が必要とされている背景に、2000年の地方分権一括法制定があります。同時に地方分権を進めるために地方自治法の大きな改正も行われました。この改正によって(機関委任事務は廃止され、)国と地方の関係は上下・主従の関係から対等・協力の関係へと変わりました。
 これは、地方自治にとって待ち望まれていたことですが、それまでおかみの指示通りにしていればよかった受身の体制からいかに脱するかが課題となりました。自主的、主体的に各自治体が地域の実情に応じて、行政の独自性を発揮できるようになったにもかかわらず、なかなか難しいというのが現状です。これまで行政追随の面が強かった地方議会もまた、自己改革と活性化が求められているのです。