委員会は原則公開・いつでも傍聴OKなのに生中継はダメ?
~あづみ野テレビが中継放送しますよ、という申し出を断った議会~
市も出資している「あづみ野テレビ株式会社」(ANC)から、市議会の委員会をケーブルテレビで生中継したいという陳情があったのは昨年の6月議会でのこと。現在ANCは市議会の一般質問を生中継してますが、それをさらに拡大し、市民に開かれた議会、市民参加を推進する民主的な議会となるよう、各委員会の中継放送もANCに担わせてほしいという趣旨の陳情。
所管の総務委員会では、この陳情を6月に継続審査としてから、9月、12月と3回扱ったところで、市議会先例に基づき審査未了としました。「審査未了」とは何とも曖昧な。いっそ「この陳情には賛成できません」と不採択にしてくれたほうが分かりやすかったのにと、私は苦々しい思いでした。
継続審査にした理由は、「生中継するための環境が整わない」というもの。委員会の部屋が狭すぎて十分な傍聴席なども確保できないなか、カメラが支障なく入る余地がないというのです。狭いなら広い部屋に変えればいいし、実際12月議会では委員会室を移動しました。「環境が整わない」というのは逃げ口上にしか聞こえません。陳情を採択した上で、その環境を整えていけばいいのです。
しかも、これは「あづみ野テレビ」側からの提案であり、放送の経費を市に求めているわけでもなく、市議会としては願ってもないことのはずなのに・・・。
本音は、「委員会まで見せたくない」「見せられるような議論がない」ということなのでしょうか。「市民に開かれた議会」を謳いながらも、それと逆行する今回の総務委員会の結論はとても残念でした。
ときに、8年ほど前だったか、議会広報特別委員会で千曲市議会を視察したのですが、本会議や一般質問だけではなく常任委員会も含めた全日程を公開、生中継していると聞き、安曇野市議会でもやりたいと思ったものです。
千曲市といえば、2003年合併時の在任特例で旧市町村の議員が全員市議として残り、議会リコールの住民投票にまで発展し、事実上の議会解散に追い込まれたこと、覚えていらっしゃるでしょうか。当時、議会の閉鎖性が批判の的となった千曲市議会は、その苦い経験を議会運営に活かし、市民に開かれた議会をめざしていたところだったのです。
ところが、今回お手本があったじゃないかと千曲市議会のことを思い出し、今どうなっているかと確かめてみたところ、なぜかもう常任委員会の生中継はなくなっていました。いったいどうしたことか。気になるところです。
今や常任委員会の生中継は珍しいことではなく、多くの地方議会が行っています。ケーブルテレビだけでなくインターネットを利用することで、経費もさほどかからず、生中継(動画配信)できるようになりました。
技術革新がいくら進んでも、議員の意識が変わらなければ、その技術を手に取ろうともしない。もったいないことです。
◆安曇野市議会の議会中継と録画映像をご覧いただけます。
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