三郷トマト栽培施設 指定管理者へ無償譲渡(その1)

~経済建設委員会での議論 市の財産をタダで渡すのか~

議案第15号 安曇野市三郷トマト栽培施設条例を廃止する条例
議案第53号 市有財産の処分について(安曇野市三郷トマト栽培施設)

2016年3月12日の市民タイムス記事

2016年3月12日の市民タイムス記事

この二つの議案の関連ですが、市民の皆さまには「三セク・トマト工場問題」「三郷ベジタブル問題」(のちに安曇野菜園)として記憶されているのではないでしょうか。私の議員活動の多くをこの問題に費やしてききました。

安曇野市のトマト栽培第三セクター安曇野菜園(旧三郷ベジタブル)がずさんな事業計画、甘い経営見通しに乗り、三郷村の行政職兼務者に経営を任せたことで破綻を招いた事件は、2011年2月15日に北海道の民間農業生産法人エア・ウォーター農園に安曇野菜園(会社)と事業権を売却、指定管理者に指定し市有のトマト栽培施設を10年間運営してもらうことで決着しました。

当時、このホームページで私は「民間経営に期待するところが大きいと思うが、このまま指定管理者制度でやっていくことは、けっしていいことではない。これまでと同じ『問題の先送り』になる。指定管理者制度とは、正確には『公の施設の指定管理者の指定制度』であって、そもそもトマト栽培施設が『公の施設』なのかという問題もある」、「今回、指定管理者に選定された会社がトマト栽培に大きな意欲を示していることを考えると、施設を市の所有として残すのではなく、すべてを無償譲渡し市から完全に切り離すのが最善と考える」という内容の討論を行ったと報告していました。

つまり、とりあえず指定管理で運営してもらうのではなく、トマト栽培施設も無償譲渡し市から完全に切り離すのがいいと私は考えていたのです。その時は、安曇野菜園の経営とは雲泥の差だと期待する一方、エア・ウォーター農園がどこまでできるか不安だったからです。

しかし、今や、年間6億円以上の売上で黒字経営。地元雇用約130人ということでも地域貢献度も高いと思います。(安曇野菜園では一番いいときでも4億円、7年間赤字で債務超過)

そこで、今議会に出てきたのが、冒頭に示した議案第15号と第53号。市有財産であるこのトマト栽培施設を処分することと、トマト栽培施設の設置条例を廃止することの2本の議案です。昨日3月18日の本会議で賛成多数で可決されました。(共産党の3名が反対)

どんな議論があったのか、経済建設委員会の報告がわかりやすいので、以下に記しておきます。

(無償譲与に反対の意見)
・市の財産を譲るにあたって、最初から無償譲渡という姿勢には納得いかない。

・エア・ウォーターに譲るにしても無償の譲与ではなく、有償の譲渡にすべきである。

・国への補助金返還が生じても市の負担金は約600万円ですみ、新たに6,500万円の費用負担は発生しない。

・市が税負担(固定資産税相当額を5年間補助)するのは納得できない。

(無償譲与に賛成の意見)
・2013年(平成25年)2月に三郷トマト栽培施設問題調査会から出された調査結果報告書及び再発防止の提言書で、当施設は法の予定する公の施設に該当しないことから指定管理制度を導入している現状を速やかに直していくべき旨の提言を受けている。

・市の資料から、施設を売却した場合の見込み収入は、今の価値を超える価値で企業は購入してくれる筈はなく、仮に購入して貰った場合でも、国への補助金の返還が生じ、返還額の方が大きくなり、後年度負担が生じてくるかもしれない。

・通常企業は、10年の指定期間による指定管理契約の協定では、10年をかけて利益が出るという想定で経営する。それを5年半で止めるとなれば企業にとってはダメージがあり、エア・ウォーターが契約どおり10年やらせてくれと言えばそれまでの話になる。

・エア・ウォーターは指定管理契約の段階には、破たんした安曇野菜園船から3億800万円で多くの資産を購入している。県農業開発公社からは、安曇野菜園側が買うことになっていた土地を1億5000万円かけて買うことで、4億6000万円くらいの投資をし、施設の経営権を獲得している。

・その後には、三郷地域の方々から借りていたその他の土地についても購入し、また、バイオマス発電による施設をつくり、10年かけて投資した元を取り戻そうとしている中で、市が現実をきちっと直視し、市民に対して責任を持って重い決断に至ったと理解する。