総務環境委員会視察報告

~百眼百考会議とふるさと住民票の取り組みについて(1)~

三木町要覧の裏表紙

総務環境委員会では1月23日(水)から25日(金)まで二泊三日の日程で、下記のような内容で視察を行った。

第1日目(2019年1月23日)
大阪府箕面市
・箕面市における人事給与構造改革について
第2日目(2019年1月24日)
徳島県神山町
・地方創生戦略について
香川県三木町
・百眼百考会議とふるさと住民票の取り組みについて
第3日目(2019年1月25日)
兵庫県神戸市
・阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」

 

そのうち、二日目の視察地である香川県三木町について報告する。

《はじめに》
より多くの市民が市政に参画できるような場や機会を用意することは、安曇野市のまちづくりにとって大きな課題である。その市政参画への重要な場である審議会等の状況は、3年前のデータによると82の審議会等の付属機関があるなかで、委員の延べ人数は1,327名、そのうち公募委員が105名で全体の7.9%と低い状況であった。全体の3割を目標に公募委員の募集をしているが、残念ながら今でも1割に満たない状況が続いている。
一般質問で無作為抽出による審議会等委員の公募を提案したこともあるが、研究・検討がなかなか進まない状況なので、この無作為抽出方式を取り入れている香川県三木町に学びたいと考え、視察先に選んだ。三木町では、「百眼百考会議」を立ち上げ、町民の意見や考え方を反映したまちづくりを進めている。また、そんななか「ふるさと住民票」の取り組みも始まり成果を上げている。

1、 香川県三木町の概要について
三木町(みきちょう)は、香川県の東部(東讃)に位置し、南北に細長く東西5.8km、南北18.4kmと細長い形をしており、西と北は高松市、東はさぬき市、南は徳島県美馬市とそれぞれ接する。他の地域にある三木と区別するため、讃岐三木(さぬきみき)と呼ばれることがある。高松市のベッドタウンであり、また香川大学の医学部と農学部を擁する三木キャンパスがあり、町内に小中高大の国公立学校が揃っている事から、『文教の町』を自認する町でもある。
また、「子育てするなら三木町」といわれる充実した子育て支援策により、若い子育て世代が入ってきているため、町の人口は微減に留まっている。町の財政は健全で、経常収支比率は81.1%(2015年度・以下同)、実質公債費比率は2.5%、財政力指数は0.544である。
[総面積]  75.78k㎡
[総人口]  27,361人(推計人口、2018年10月1日)
[産業人口]  農家戸数 2,199戸、商店数 282店舗(うどん屋数 14店舗)
[工業団地] 高松東ファクトリーパーク 誘致企業: 日プラ株式会社(水族館の巨大アクリル水槽で日本一を誇る)
[年間平均気温]  16.5度(8月の平均気温29.5度/1月の平均気温5.2度)
[年間平均降雨量]  1212.0mm

2、 百眼百考会議について
「第5次三木町振興計画」が目指す方向性及び目標を達成するために必要な施策について、町民の意見や考え方を反映したまちづくりを行うための具体的な施策を提案するとともに、「三木町まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げる取り組みの点検・評価を行うことを目的として設置されたもので、通称「百(もも)会議」といわれている。

満16歳以上の町内居住者か、町内への通勤・通学者、その他町長が必要と認める人が対象となる。当初、委員は公募か各種団体(香川大学医学部や農学部など)からの推薦で選ばれていたが、公募してもなかなか人が集まらなかった。そこで、2014年から無作為抽出(年齢、性別に関係なく)と推薦という方式に変わった。
本年(2018年)の委員は無作為抽出33人、香川大学推薦5人、それに三木高校推薦11人の計49人。委員への報酬、交通費はなし。委員になるのは1人1回のみで、再任は認めないことになっている。これまでに委員を務めた住民は350人にのぼる。

会議のテーマは、町指定テーマと自由テーマの2種類あり、各委員は4つの分科会に分かれて半年(7~8回)にわたって協議する。このところのテーマでは、「ふるさと納税de町民大作戦」「実りあるシニアプラン」「生活満足度向上」「サードプレイスの創出」「移住・定住促進」「子育て」「いきいきパーク」「福祉の地域づくり」等々があり、町の施策として提案してもらっている。
テーマごとに半年をかけて協議し、提案書を作成してもらい、そこで提案された事業を翌年度予算に反映させ、実施する仕組みとなっている。一般会計の1%分を活用枠として設定しており、その額は年間約1億円。
提案事業で実現したものとしては、「獅子たちの里 三木まんで願」(H23年)、町民大運動会」(H25年)、「ことでん学園通り駅 バリアフリー化トイレ」(H28年)、「尾木ママによる講演会(H29年)等がある。

百会議に参加した方々へのアンケートによれば、無作為抽出で選ばれて出てきた人であっても、活動するなかで意識が変わり何か行動しようと思った人が7割近くあり、百会議に参加してよかったという人は9割にもなっている。高校生や大学生の参加も特筆すべきもので、「大学生にとって、社会人と混じって議論する貴重な場所だった」「高校生にとっては、三木町と深くつながれる貴重な機会になった」等々、評価する声が多数を占めている。