総務環境委員会視察報告
~百眼百考会議とふるさと住民票の取り組みについて(2)~
3、 ふるさと住民票について
三木町の出身で現在は離れた都市で暮らす人や、町外から三木町に通勤している人、
三木町にふるさと納税した人など、三木町と関わりのある人は様々。
三木町はこの方々と「もっとつながりたい」
それを形にした三木町『ふるさと住民票』が平成29年3月10日(金)に
オープンしました。
三木町で生まれ愛着を持ちながらも
現在は離れたまちで暮らす人(出身者)には、
「おかえりなさい」。
町外から三木町に通勤している人やふるさと納税した人、
三木町との縁がはじまる人には
自分の故郷のように親しんでもらいたい「はじめまして」の気持ちに
「おかえりなさい」もプラス。
どちらも三木町を応援してくれる人、大募集です。
ホームページでこのように呼び掛けて始まった「ふるさと住民票」。三木町で生まれ強い愛着を持ちながらも、現在は離れた都市で暮らす人(出身者)や、町外から三木町に通勤・通学をしている人、三木町にふるさと納税した人など、三木町とゆかりある人は様々だが、“この方々と三木町とのつながり・絆を更に深めたい”それを形にしたものが「ふるさと住民票」制度。これに申し込むと「ふるさと住民カード(3種類から選べる)」が発行され、「ふるさと住民」として登録され、三木町とふるさと住民との関わりをより密なものとしていくための特典サービスを受けることができる仕組み。
特典(1)三木町ふるさと会報紙「KIT*MIKIon paper」が年2回届く。
三木を知っている方もそうでない方も新鮮に三木を“KIT”感じることができる魅力ある会報紙をお届け。キャンペーンや体験ツアーの告知なども掲載。
特典(2)「三木のえぇもん」もらえるキャンペーン 年2回
特典(3)「三木のおもしろ体験」ツアーご招待 年2回
希少糖、いちご、ジェラート、自転車、藍染め石けんなど三木の魅力が満載の「プレミアム」or「ビューティー」から選べる「実」体験ツアーに役場職員がご案内。
特典(4)「お食事交流会with町長&副町長」 年1回
町長・副町長と三木の未来について語り合いながら会食できるイベント。三木ならではの食材を使った食事を楽しみながら、三木町の昔・今・未来を語る。
特典(5)メタ・ライブラリーの通年利用
三木町にある唯一の図書館、メタ・ライブラリーを、ふるさと住民カードと身分証明書の提示で、簡単に利用できる。
特典(6)三木町のパブリックコメントへの参加 随時
これらの特典・サービスを通じて、ふるさと住民が三木町の魅了を知るとともに、交流が促進され(つながりが深まり)、ひいては地域の元気につながる。平成29年3月に始まって、現在ふるさと住民は約650名。そのうち首都圏在住者が約30%を占めており、その人たちとのつながりのあり方が課題で、今年度は「ふるさと住民会議 in 東京!」を開催し、意見を聞くことで次の企画を考えているとのこと。
このごろ、新規の登録者が減ってきていることもあり、また10代~20代の若者の登録者数が少ない傾向を打開するために、SNSを利用した広報、情報発信を検討している。
三木町は高松市のベッドタウンというだけでなく、香川大学の医学部と付属病院、それに農学部があり、大勢の人たちが町外から通勤・通学している。その数は2,000人ほどで、町の人口の1割近い。こうした人たちに第2の住民として三木町のサポーターになってもらいたいと考えたのは、前町長の筒井敏行氏。人口減少を食い止めるのは容易ではないが、「交流人口」という観点では三木町の潜在的な可能性は高いと思われるし、外からの視点で町のことを考えてもらえるのはとても大事なこと。
ふるさと住民票を構想した当初は、ふるさと納税とのリンクをそれほど意識していなかったが、今やその相乗効果は大きいと認識し、ふるさと納税との効果的な展開をねらっている。
4、まとめ(研修の成果と所感など)
○ 今回の視察のテーマである「百眼百考会議」や「ふるさと住民票」の取り組みは、筒井敏行前町長のアイデアで始った事業であるが、筒井町長勇退後の昨年10月に就任した伊藤良春町長から、三木町が目指すまちづくりについても含めて、「百眼百考会議」や「ふるさと住民票」の政策を踏襲していくということで説明があった。
○ 「百眼百考会議」「ふるさと住民票」について、担当の課長も同席していたのだが、それぞれ説明に立ったのはいずれも20代の若手の職員であった。日頃の実践に裏付けられたしっかりとした説明でわかりやすく、質問にも的確に答えていた。意欲を持って仕事にあたり、実力と自信をつけている様子がうかがえた。
○ 「百眼百考会議」「ふるさと住民票」のほかにも、プロジェクトチームで取り組んでいる課題があり(現在5つが進行中)、三木町役場の特徴ある仕事ぶりが目を引いた。
テーマとキャップを町長が指定し、チームのメンバーはそれぞれのキャップが所属部署に関係なく、庁内横断で自由に選ぶことになっている。町長は役職に関係なく、日頃の仕事ぶりを見てキャップを選ぶので、若手職員が多くなるとのこと。仕事を無難にこなすタイプの職員よりは、意欲を持って仕事をする若手に思い切って仕事を任せていることに感心した。プロジェクトチーム方式により若手を起用して仕事をすることで、職員の政策立案能力が高まり、新人職員の研修の場ともなっている。安曇野市でもかくありたいものだ。
○ 審議会等への公募委員には、従来限られた世代や職業の住民の応募が多く、また、行政に強い関心や利害を持つ小数の人々であったり、複数の審議会に繰り返し手を挙げる人も目立つ。三木町でも同様の悩みがあり、無作為抽出による委員公募に切り替えた。幅広く多様な市民に参加してもらうこと、より広範な民意を拾い上げ、合意形成につなげること等々、住民自治の活性化を狙ったものだが、漠然とした公募よりもよほど効果的だったという。無作為抽出といっても1,000人、2,000人に声を掛けるわけで、意欲のある人々を掘り起こすことにつながったのである。安曇野市でもそろそろ検討段階を脱し、やってみたらどうだろうか。
○ 「百眼百考会議」は無作為抽出で選ばれた住民が50人のうち33人、ということは当然ながら平日昼間の会議では参加しにくいので、平日夜間の会議となっている。役所は自分たちの仕事の都合で、平日夜間の会議というのはあまりしたがらないが、そこを住民や学生にとって出やすい平日夜の会議にしたというところ、そんなささやかな配慮があってこそ「身近に感じてもらえる行政」に近づいていったのではないかと感じた。
さらに、その先に、一般会計の1%分(年間約1億円)を活用枠として設定しているところに注目。「委員は公募します、住民の声をまちづくりに反映させます」という行政の掛け声は今や当たり前になっているが、意見を聴くところで終わっている場合がほとんどではないか。一定の予算枠を設けることで、行政も住民も本気の取り組みにつながると思う。
○ 人口減少を食い止める方策を考えるとき、三木町はそのまちの特徴から「交流人口」に注目した。安曇野市も「交流人口」に着目した人口減少対策は有効ではないかと直感した。