安曇野市議会12月定例会 小林じゅん子の一般質問(1)

~公共施設に関する市民ニーズや使用料の見直しについて~

安曇野市教育会館(南安曇教育文化会館)

公共施設の使用料の見直しと一言で言っても、その対象の範囲は広く多岐にわたるので、ここでは公民館、交流学習センターなどの文化施設や、体育館、運動場、マレットゴルフ場などの体育施設で、広く市民の利用に供されている施設の使用料について考えてみました。

安曇野市の公共施設の使用料については、合併して今日まで、消費税増税に伴う変更を除いては大きく変わっていません。利用者から見れば、当然、金額が安ければ安いほど喜ばしいものであり、使用料の見直しと言って、結果として値上がりするのであれば、ガッカリかもしれません。ですが、これまではともかく、人口減少、経済縮小の今後は、公共施設の維持管理や運営に要する経費は増えることはあっても、使用料収入が増えることは考えられません。

合併して14年、公共施設の再配置計画を進めるなかで、いよいよ使用料の設定についても基本的な方針を打ち出し決めていかないと、施設を利用する人と利用しない人との負担の不公平感が拡大したり、老朽化の進む施設の維持管理、補修等の財源確保の観点からも問題が生じてくると思われます。

また、公共施設の利用状況から市民ニーズを見極め、不足している状況を補うための方策や、公共利用に供することができる施設の掘り起こしも必要と考えます。

【小林質問】 市の公共施設の使用料は、消費税増税による変更以外では大きく変わっていない。使用料は安いに越したことはないが、人口減少・経済縮小の今後は、財政的余裕は見込めないので見直しが必要である。合併して14年、公共施設の再配置計画と並行して、使用料の設定についても基本的な方針を打ち出す時期ではないか。

【市 長】 合併時に決めた使用料は、公共施設全体として統一した基準で算定したものではないので、見直すべき時期に来ていると考える

【総務部長】 受益者負担の原則から、利用者と非利用者との公平性に配慮しながら見直しを行う。まず、施設の更新費用、維持管理に必要な経費等を考慮しながら、施設の設置目的を踏まえた統一的な算定基準での試算を進めていきたい

【小林質問】 (2)使用料の減額や免除の基準の見直しについて 使用料の減免や免除の基準の見直しについて。平成28年1月に減免の規定が改正され、それまではほとんどの団体が減免団体となっていた状況を踏まえ、受益と負担の公平化を考慮し、登録基準の厳格化、明確化を図ったということだが、このことにより、使う人と使わない人の負担の公平化が進んだかといえば、むしろ実感としては不公平感が強まったのではないか。以前は基準が緩やかだった分、減免を受けられる人が多かったが、今では何かと制約が多く、減免を受けられなくなったと感じる人がふえたのではないか。また、減免にならないからといって活動をやめたり施設を利用しなくなるということは考えにくく、市民にとっては不公平感が増したのではないか。
本来的な負担の公平を損なうことなく、使用料の減額や免除を行うにはどうしたらいいのか、基準の見直しが必要ではないか。

【教育部長】 公民館施設は別にして、体育施設についてはスポーツ推進審議会に使用料の減免割合の見直しについて、現在慎重に審議をしてもらっているところである。また、根拠法や条例が異なる交流学習センターや明科の交流学習施設ひまわりについては、それぞれに減免規定がある。

【小林質問】 グループや団体に対して一律に減免を行うというのではなくて、どんな人たちがどんな活動をしているのかということに対して政策的に減免を適用するというやり方はどうか。具体的には、子どもたちの育成を図るために、構成員の一定数を高校生以下の児童生徒が占める団体に適用する、障害者の社会参加を図るために、障害者が一定数を占める団体に適用するなど、政策的な観点から減免を行うということ。

【教育部長】 政策的な観点から減免については、審議会のほうへ諮ってみたいと思う。

【小林質問】 (3)公共施設の利用状況から見えてくる市民ニーズについて 体育館やグラウンドなどのスポーツ施設や会議室等の貸し館施設は、稼働率が高く、有効活用されている。一方、芸術・文化活動に使える施設は、不足ぎみ。使いたいんだけれども使えないという、そういう状況もありそう。例えば、50人程度の混成合唱団が練習に使えるような施設が市内には少ない。そこで、冷暖房つきでピアノがある体育館施設を借りようとすれば、これが目的外使用となり使用料が2倍になってしまう。このような場合、目的外利用という扱いでなく、ほかに適当な施設がないということで通常の使用料で利用することはできないか。

【教育部長】 体育施設は非常に稼働率が高いので、スポーツ以外での利用については料金を上げている現状にご理解いただきたい。

以上、質問・答弁の概要ですが、最後に、芸術・文化活動に利用できる市の施設が少ない中で、公共利用に供することができる施設の掘り起こしについて、私から提案をしておきました。この提案には、回答をもらいたかったのですが、「市の施設ではないものに対して、市側から何らかのコメントはできない」という非常に消極的な姿勢に圧され、今回は提案だけに留めました。

「この安曇野市役所のすぐ東側に安曇野市教育会館(南安曇教育文化会館)というのがあります。それから、高家には、信濃教育会生涯学習センターという施設があります。いずれも学校の先生方の任意加入の研究団体の施設です。私自身がこの教育会の会員だったということもあり、安曇野市民の皆さんにも利用拡大できないかと考えたところです。このほかにも、民間の施設にお願いして、公共的な利用に提供していただけるところがあるのではないかと思います。公共利用に供することができる施設の掘り起こしについては、あくまでも相手側の意向が優先するわけですけれども、市や教育委員会のほうでうまくアプローチしていただけたらと思い、提案しておきます。」