一般会計予算と産業団地造成事業特別会計予算に反対

~予算の提案者である市長と市行政への不信~

安曇野市が行政指導を受けた時の文書

新年度の予算審議で、私が一般会計予算と産業団地造成事業特別会計予算に反対したのは、商工観光部と安曇野市農業委員会が、長野県から、平成28年(行ウ)第17号公金支出返還請求事件の住民訴訟判決に関わって、行政指導や技術的助言を受けながら、それら指導や助言に反発して従おうとしなかったからです。

以下に、その点について一般質問で質した内容を記しておきます。県からの指導や助言を受けてもなお、「判決が指摘するような違法の事実はなかった」とか「事務処理において職務上の義務違反はなかった」と反論したことが明らかになりました。




【小林質問】 ソーラー発電所建設にまつわるSL機関車移設訴訟の問題について。長野地裁は市や農業委員会が農地法違反をしたと判断したが、市はこれを否定している。ただし、市民から疑義を持たれたことについては、それを真摯に受け止め、全市職員が適正な事務処理に努めていくべき教訓だと受け止めているとの答弁もあった。この問題に関して、許可権者である長野県から行政指導はあったか。


【総務部長】 行政指導については承知していない。


【商工観光部長】 令和元年12月3日付で、松本地域振興局長から商工観光部長宛てに、公金支出金返還請求事件について通知があった、これは行政手続法第2条第6号の規定による行政指導である。


【農林部長】 農業委員会に対しては、令和元年12月3日付、長野県農政部農政課長から技術的助言ということで通知があった。これは、地方自治法第245条の4第1項の規定による技術的助言である。


【小林質問】 この指導や助言を商工観光部や農林部ではどのように受け止めているか。


【商工観光部長】 商工観光部としては、県が引用する判決が指摘するような違法と評価される事実はなかったものと認識している。このような誤解を招かないよう適切な事務処理に努めると回答した。


【農林部長】 農業委員会としては、助言に引用された判決の一部に対して、本件に関わる事務処理において職務上の義務違反はなかったと認識していると12月23日付で県へ回答した。


【小林質問】 市長はただいまの県の指導、助言について反論をしたということは御存じか。


【市 長】 報告は受けている。


【小林質問】 県は、長野地裁の判断を基に安曇野市職員らの行為は違法であった、問題があったとして行政指導等を行った。これについて、市は誤解があったと言って逃げている。判決を真摯に受け止め、実際にあった事実・裁判所が認定した事実を認め、今後の行政に役立てていかなければいけない。安曇野市行政は裁判所の判断に従わないのか。


【市長】 裁判の結果は結果として反省すべきところは反省しなければいけない。市民の皆さんに誤解を与えてはいけないので、以後の職務執行については十分な配慮が必要だ。


 以上、一般質問でのやり取りですが、ポイントは「誤解」という文言にあります。裁判所が事実を誤解して判断したのか、県が誤解しているのか、はたまた市民に誤解を与えたのか、いずれにしろ安曇野市が責任逃れをするには「誤解」というのはじつに都合のよい言葉です。
 そもそも、この裁判における事実認定は、そのほとんどが安曇野市が作成した公文書にもとづいて行われているのです。それを否定するのであれば、その根拠や証拠は原告である私が示すのではなく、安曇野市が示すべきものです。
 それでは、関連の2議案について、私の反対討論を記しておきます。


◆議案第22号 令和2年度安曇野市一般会計予算に対して反対討論
安曇野市と安曇野市農業委員会は、長野県より、平成28年(行ウ)第17号公金支出返還請求事件の住民訴訟判決に関わって、行政指導や技術的助言を受けましたが、それにも関わらず、それら指導や助言に従わず、かたくなに拒否しています。その上、判決で指摘されたことは事実であるが、それは裁判所の誤解によるものだとして、司法による判断をも否定しています。
このような安曇野市行政に対する信頼は大きく損なわれ、適切な予算編成や適正な予算執行が行われるか、甚だ疑問です。予算について、個別の事業や金額に関することに言及するのではなく、予算の提案者である市長と市行政への腹心を表明する形での反対討論は異例のことかもしれませんが、それほどに、安曇野市行政は深刻な事態にあるということを指摘して、令和2年度安曇野市一般会計予算に対する反対討論といたします。



◆議案第31号 令和2年度安曇野市産業団地造成事業特別会計予算に対して反対討論
安曇野市商工観光部と安曇野市農業委員会は、長野県より平成28年(行ウ)第17号公金支出金返還請求事件の住民訴訟判決に関わって行政指導や技術的助言を受けたにもかかわらず、それら指導や助言に従わず、かたくなに拒否している状況です。その上、助言に引用された判決に対して、職務上の義務違反はなかったとして司法による判断をも否定しています。このような安曇野市行政と農業委員会に対し信頼は大きく損なわれ、事務事業の公正な執行が危ぶまれる状況があります。産業団地造成には、農地との関係も大きく、適切な予算編成や適正な予算執行が行われるか、甚だ疑問に思います。
予算について個別の事業や金額に言及するのではなく、予算の提案者である市長と市行政、農業委員会への不信を表明する形での反対討論は異例のことかもしれませんが、事の重大性を知る者として、また、議員の立場にある者として、問題ある市の体制に目をつぶって予算を通すことはできません。