安曇野市議会12月定例会 小林じゅん子の一般質問

~学校給食の目標 見直し必要では~

広報いすみ~学校給食の米を有機米に~先進地の千葉県いすみ市

ちょうど1年前の一般質問で、オーガニック給食の取り組みについて取り上げました。「学校給食の理念や目的から、有機無農薬栽培の農産品を使用した、いわゆるオーガニック給食についての見解は?」と尋ねたところ、教育長の答弁は「オーガニックの考え方に基づいて栽培された無農薬有機農産物を、子どもたちに提供することのよさは十分認識しているが、学校給食では安定的な供給や価格の問題があるので困難ではないかと思う」ということで、実現はすぐには困難であるとしても、オーガニックのよさは十分理解されていると見ました。

 

 

 

 

ところが、具体的に有機米を米飯給食に使う話になると、教育部長からは「オーガニックの農産物を使うには、虫などの混入を避ける等の安全性の確保の課題もあり、有機無農薬米の導入は考えていない」と、妙に突き放した答弁が返ってきて驚いたものです。学校給食の理念や目的の第一に掲げられている「安心・安全でおいしい給食づくり」は、近代的な施設で衛生管理の徹底を図ることであって、食材・食品の安全性には考えが及んでいないことに(おそらく、安全基準への誤解があるのでしょう)、大きな問題を感じました

その一般質問から1年、この間に、お隣の池田町、松川村、伊那の松川町など、有機米や有機野菜を給食で提供し始めました。国も学校給食に有機農産物を提供する場合の補助を打ち出し、長野県では有機農業推進プラットフォームの活動に力を入れてます。安曇野市では、このような周辺状況を勘案して今後はどのような学校給食を目指していくつもりか、質問しました。

Q1.学校給食の目標6項目のうち、安心・安全な給食と地産地消について
【小林質問】 パン用小麦は現在国産小麦90%まで増え、輸入小麦は10%までに減ったが、※プレハーベストの輸入小麦から除草剤成分が多く検出される現状から、パンを100%国産小麦にしたいがどうか。

※プレハーベストとは…小麦や大豆など、収穫前に除草剤でわざわざ枯らして、収穫の効率を高める農業手法。

【教育部長】 現在、県産45%、北海道産45%、外国産が10%。令和3年1月から県産50%、北海道産50%で100%国内産小麦のパンになる。

Q2.栄養バランスの取れた給食と牛乳の必要性
【小林質問】 続いて、栄養バランスの取れた給食の提供に関連して聞く。牛乳が常時提供されていることについて、文科省など国の意向として牛乳と給食で栄養バランスが整うという考えがベースにあり、牛乳は完全栄養食品で体によいというのが一般常識になっている。毎日給食で飲むことに疑問を感じない人が多いとは思うが、大量生産される牛乳、その飼育環境や飼料に関する問題を考えると、それほど健康によいものとは言えない。実際、子供のアレルギー増加と牛乳は切り離せない関係にある。学校給食で毎日飲む必要はないのではないか。

【教育部長】  牛乳の提供については、アレルギーや不消化の体質の子どもいるということ、また、議員指摘の理由から「あまり牛乳は飲ませたくない」という保護者の意向があることは承知している。保護者から申し出があれば、牛乳の提供は見合わせている。ただ、カルシウムの摂取には牛乳が最も効果的であると考えているので、今後も牛乳の提供は継続する。

【小林質問】 心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされるトランス脂肪酸を多く含むマーガリン、ショートニングの学校給食での使用状況は。

【教育部長】 脂質や糖分が多いパンを平成30年度までは使用していたが、令和元年度からパンの製造業者を変更し、トランス脂肪酸を含むマーガリンは不使用、ショートニングも最低必要限度の量を使用したパンを提供している。

Q3.安心・安全な給食づくりは施設や衛生管理だけの問題か
【小林質問】 
安心・安全でおいしい給食づくりは「近代的な施設で衛生管理の徹底を図る」だけでは不十分。いまや、農薬、食品添加物、遺伝子組み換え、ゲノム編集等々、子どもたちの心身の健康への影響が懸念される。安心・安全は施設や衛生管理だけでなく、食材そのものの安全性に関する理念が必要では。

【教育長】 学校給食理念・目標の制定から20年、昨今の様々な状況を勘案し、見直しが必要と認識している。本格的な検討に着手する。

【小林まとめ】 食材そのものの安全性ということでは、有機栽培の(化学肥料や農薬を使わない)食材を多く取り入れていくことが、子どもたちの健康に非常によいという観点から質問してきました。それは、また農産物を生産している方々にとっても有機食材の生産意欲にもつながるので、有機食材を給食に取り入れていくという観点から、目標を設定してもらいたいと思いました。

農林水産省では、今年大きく政策転換したことがあります。有機農産物を学校給食に導入するための支援を始めたのです。1日8,000食の米飯給食を全て有機米、有機野菜にするということには5年、10年かかる大事業だとは理解していますが、それにつけても、始めの一歩を踏み出す、これが大事です。学校給食の目標に安全性の高い食材や有機農産物を使用するといった一項を加えることが非常に大切と思います。