安曇野市議会12月定例会 小林じゅん子の一般質問(2)

~環境保全型農業の推進とオーガニック給食の取り組みについて~

サステナブル・ブランド ジャパンのニュースより

安曇野市の学校給食理念の第1には、安心・安全でおいしい給食づくり、とあるのですが、これはどういうことかというと「近代的な施設で衛生管理の徹底を図る」ということであって、食材の安心・安全ではなかったというのが、これはかなりの衝撃でした。「(有機無農薬栽培の農産物は)虫などの異物混入のリスクを取り除くために、より丁寧な洗浄を行う必要が生じる」ので、オーガニック給食の取り組みは難しいというのです。やる気の無さが、どこかコジツケみたいな答弁に表れていて残念でした。

農林部からも、「JAでは有機農産物の推奨はしておりません」とか「当市の米づくりは慣行の栽培を前提とした体制が確立しており、これを大きく崩すということは困難」といった発言が続き、環境保全型農業の推進は御題目だけなのかとガッカリでした。

【小林質問】 学校給食の理念や目的から、有機無農薬栽培の農産品を使用した、いわゆるオーガニック給食についての見解は。

【教育長】 オーガニックの考え方に基づいて栽培された無農薬有機農産物を、子どもたちに提供することのよさは十分認識しているが、学校給食では安定的な供給や価格の問題があるので困難ではないかと思う。

【小林質問】 ご飯を有機無農薬米にすることから始めてはどうか。

【教育部長】 現在、学校給食で使用している米は、地産地消の観点から100%安曇野産の米なので、有機無農薬米の導入の考えは現在のところない。

【小林質問】 100%安曇野産といっても、特別栽培米でさえない。安定的な供給を考えると難しいというような答弁もごもっともだと思うが、まずは1回やってみないか。米飯給食1回分で617キログラム必要(年間では100トン)。通常の米なら1反10俵ぐらいで、これで足りるが、有機無農薬米だとどうか。味のよさも加味すれば、1反、五~六俵が限度と思われるので2反分ということになるが、これぐらいであれば1回使ってみることは可能。まず取り組んでみるということが大事。それによって、このオーガニック給食のよさが家庭にも広がり、地域にも広がり、それが結果として農業者を後押しする、その第一歩になる。価格的には確かに高くなるが、そこは市が補助することでやっていく、その価値はある。

【教育部長】 オーガニックの農産物を使うには、虫などの混入を避ける等の安全性の確保の課題もあり、有機無農薬米の導入は考えていない。

【小林質問】 目先の安全性の確保も大切だが、子どもたちがこれからずっと食べていく米の安全性が今揺らいでいる。安曇野市の地下水に化学肥料や農薬等の汚染がじわじわと進んでいる状況を考えるときに、給食に提供するための有機農法の推進は、安曇野市の農業政策にとってとても大事。有機無農薬米を導入するに当たって市の農政とJA、教育委員会との連携について、どのように考えているか。

【農林部長】 市内では3,000ヘクタールにも及ぶ広大な面積に水稲の作付が行われており、当市の田園環境を守るためにも、こうした農地を維持していく必要がある。一方、JAでは安定生産が基本で販売先の確保も必要なため、有機農産物の推奨はしていない。 しかし、長野県で栽培されている米の農薬量は全国標準の75%と使用量が抑えられていることもあり、減農薬栽培としては実行されている部分はある。よって、当市の米づくりは慣行の栽培を前提とした体制が確立しているので、これを大きく崩すことは困難である。ただし、環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業を実施している農家も尊重して、環境保全型農業の推進もしている。

ここまでのやり取りで、残された質問の持ち時間は1分を切っており、「農政のほうからも、安心・安全な有機無農薬米を給食に提供するという連携も考えられると思います。環境保全型の農業、それから安曇野の大地と水と地下水を守るという観点から、これは今まさに取り組む必要があると考えます。・・・」時間切れで終ってしまいました。

時間が足りなくて、端折った発言は以下の内容です。

【小林質問】 実は、今回調査してみて分かったのですが、オーガニック給食や自然栽培米の給食ということで話題になり、注目されている石川県羽咋市、徳島県今治市など、どこも「年1回やりました」あるいは、「給食週間の5日間提供しました」というささやかな取り組みです。
千葉県いすみ市の学校給食は、2年前からすべての米飯を有機無農薬米になっていますが、こちらもはじめは年1回から始まり、5年かけて栽培面積を増やしながら進めてきたのです。
まずは1回、「給食の日」というのが1月の25日なのですが、来年は無理としても、再来年2021年1月25日「給食の日」に、有機無農薬米のご飯出してみませんか。

そして、最後に言いたかったのがこれです。

【まとめ】環境保全型農業の推進については、安曇野の大地と水・地下水を守っていくという観点から、いままさに取り組む必要があると考えます。そこに、安曇野の将来を担う子どもたちの食と健康の問題を重ねてみれば、目指す方向はおのずと見えてきます。
子どもたちが給食で有機無農薬のご飯を食べ、オーガニック給食の良さを知るとともに、どんな食べ物を選ぶかによって、地球温暖化や環境破壊を食い止めることができると学びます。子どもたちは、その学びを家庭で話すことでしょう。そして、こうした「食の安全」や「環境」に対する意識の高まりは、安曇野の環境保全型農業の拡大と有機農産物の広がりにつながり、有機農業は安曇野ブランド一翼を担うことになるでしょう。
有機農業が支える子どもたちの未来と、子どもたちが支える地域農業の未来のために、有機無農薬米を学校給食に導入することを強く願って、私の一般質問を終ります。

以上ですが、教育長、教育部長の答弁が「検討します」の一言も無く、「困難(できません)」「導入の考えはございません(やりません)」ですから、残念というより「こりゃ、もっと頑張らなくちゃ」という気持ちになりましたね。

子育て支援の一環として、給食費を無料化(自治体が負担)している自治体もあるくらいですから、オーガニック給食にも自治体が補助して推進すれば、地域内での有機農業の振興につながり、経済の地域内循環にも寄与すると思います。