安曇野市明科の雑排水汚泥処理施設 立ち退き調停で市と合意/市議会も了承
~市民ネット横地泰英さんから届いた傍聴記です~
◆安曇野市明科の雑排水汚泥処理施設
立ち退き調停で市と合意/市議会も了承
安曇野市は、明科南陸郷で30年前から稼働する雑排水汚泥等の廃棄物(一廃・産廃)処理施設の立ち退きを求め、操業する湯浅産業(清水克貴代表取締役)に土地の明け渡し調停を地裁松本支部で申し立てていたが、6月12日の第12回調停で、安曇野市、湯浅産業、土地所有者が合意。7月1日に調停が成立することになった。
開会中の市議会6月定例会最終日の25日、環境経済委員会、全協で市が調停内容を説明。午後から本会議さらに常任委で論議を詰め、午後5時45分からの本会議で採決。起立多数で可決した。地元住民、地権者らは24日夜までに調停案に合意しているという。
調停条項は―
①安曇野市と土地所有者は、昭和57年12月に締結した土地の賃貸契約を調停成立日に解除する
②土地所有者は安曇野市に対し土地の明け渡しを平成28年3月31日まで猶予する(移転準備期間)
③安曇野市はその5か月以内に土地を更地にして所有者に返還する ④安曇野市は湯浅産業に対し、紛争の解決金として、6千万円の支払い義務を認め、分割して支払う (1)25年12月31日3千万円 (2)28年3月31日1千万円 (3)土地汚染がないことを確認し2千万円 (1)は移転費用準備金、(2)は明け渡し金、(3)は汚染土壌など除去の担保としている。
この調停条項履行に伴い、安曇野市は平成25年から28年度までの3年間に総額で1億1341万円の債務負担を負うことになるが、うち405万円は湯浅産業から徴収するとしている。
宮沢宗弘市長は午前中の全協の冒頭、「この問題は昭和57年から旧明科町と地権者6人が30年にわたって争ってきた。和解には議決が必要であり、解決金6千万円で建物等を撤去し、復旧整備する。この解決は長い間臭気に苦しんできた住民の切なる願いだった。調停による早期解決には、住民、土地所有者とも理解しており、安曇野市としても相応の負担をすることになる」と述べた。
議会側は「長年の難題を前向き処理したことは評価するが、解決金6千万円の根拠を説明してほしい」「行政に支払い義務があるというが、6千万円は市民の税金、訳分からぬまま賛成はできない」などと追及し反対する議員も数名あった。小倉市民環境部長は「旧明科町が誘致をし、雑排水の汚泥処理を平成18年に湯浅産業に転貸した。誘致した行政責任は重い」と説明。「調停は互譲の精神であり、12回の交渉は相当高いハードルだった。双方が歩み寄って合意した」「条項には不備な面があるが、抽象的な表現も入れざるを得ない面がある」などと調停合意にいたる困難を強調した。
議会を傍聴した南陸郷の前区長は「24日の地元住民集会は〝痛み分け〟を容認。28年3月まで解決を待つということだ。市は債務負担行為をし、住民も我慢する。地主も土地を農地に戻すのではなく、更地で我慢する。裁判になれば長くなってしまう。調停による早期決着はありがたい」と率直に評価した。
※小林じゅん子は、この調停議案には賛成しました。