安曇野市の土地利用に関する条例が改正されました

~自分にはあまり関係ないと思っていたら・・・~

これまでの安曇野市土地利用ガイドライン(第2版)

安曇野市の土地利用に関する条例が改正されました。(もう昨年ですが)12月議会で一部改正案が可決、成立しました。土地利用に関する条例といっても、自分にはあまり関係ないとお思いかもしれませんが、さにあらず。

学習塾を開こうと自宅の庭にプレハブの教室を建て、教室の看板や生徒募集ののぼり旗を立てようと、たまたま同業者から(屋外広告物条例について)聞いて知っていたので、市役所へ相談に行ったところ、「お宅の地域は自宅内に学習塾を開設するのはOKですが、自宅敷地内とはいえ学習塾のために建物を建てることはできません」と言われ途方に暮れたという人を知っています。

安曇野の美しい景観に魅せられて家を建て移住してきたのに、目の前の田園風景が一面のソーラー発電所になってしまったという嘆きの声も聞いています。

こういった事例は安曇野市の土地利用に関する条例に大いに関わっているもので、自分には関係ないではすまされないと、お分かりいただけるのではないでしょうか。

今回の一部改正については、基本的な理念のところで疑問の多い内容だったので、次のような意見を述べ反対しました。

安曇野市の適正な土地利用に関する条例の前文によれば、「私たちは、これからもこの恵まれた自然や美しい景観を守り、生かしながら、秩序ある発展を継続することによって、誰もが住みたい、働きたいと考え、思える町、訪れてみたいと感じてもらえる町をつくり、育て、次の世代に受け継いでいかなければならない」とされています。そうすると、本条例が誰のための条例かということでは、私たち市民のための条例だということす。そして、この前文の言外には、開発事業者にあっても、住民・市民の立場に立つことを求めていると読み取れます。

自分たちの生活環境、土地の環境を今後も変わらずいい状態で維持していくために必要な取り決めや、情報が盛り込まれているのが土地利用条例でなければならないところ、今回の条例改正では「市民のための条例」「市民にとって使いやすい条例」という観点が弱まっているので、改正案には反対します。

一番気になるのは、市民のための、私たちのためのというところです。この土地利用に関する問題については、市民はこの手続等について細部まで分かっているわけではありません。一方、開発をしようとするその事業者の方は、安曇野市にやってきて様々な情報を当然ながら入手し、それをもとに事業者は地域住民に説明をし、開発についての理解を求めるということになるわけですが、ここで開発事業者と地域住民が知る情報の量が圧倒的にもうそこで違っているわけです。そういうときに、住民が、市民が自分たちの生活環境、土地の環境を今後も変わらずいい状態で維持していくために、この開発事業がはたして大丈夫なのかということを考えるための情報が、この土地利用条例になるわけですが、そこのところが非常に弱いです。

実際に、私も幾つかの地域の開発事業について住民サイドで加わって考えてみたときに、市が出してくる情報というのは、どうしても市民の方に少ないです。業者の方に多く情報が提供されます。それは、業者が熱心にアクセスするから当然なのですが、住民側にはアクセスするための土地利用条例に関する知識さえも十分にない。そういう中では、市民が使いやすい形の条例を整備すべきだと思います。

例えば、開発計画や住民説明会の記録などの縦覧(見たり、読んだり、調べたりすること)の期間、そして縦覧後に意見書が提出できる期間、そういったことについて、ただ単に期間短縮や手続を簡便にして開発事業が進めやすくする方がいいのか、住民側からすればそれは受け入れがたいことです。手続きの迅速化は開発事業者のためにはなっても、市民のためにはならないということから、本条例案には反対をいたします。