総務環境委員会では採択した「あづみ野ランドのプール存続等を求める陳情」

~本会議での審議では採択に賛成10人・反対11人で逆転不採択~

あづみ野ランドのホームページより

3月8日の総務環境委員会「あづみ野ランド」のプール施設を含めた改修と良好な維持・運営を求める陳情書は、陳情者の方から陳情の趣旨やご意見を聴くなど、1時間近くをかけて丁寧に審査をしました。

あづみ野ランド改修に対する市の意見を聞いたところ、地元区長や総代及び組織市町村の職員で構成するあづみ野ランド検討委員会が組織され、その報告を踏まえての計画と認識している。とか、施設改修の基本計画は承知しているが、予算措置の細かなことまでは聞いていない等、あまりに淡々としておりビックリ。広域の6市町村の組合で運営しているゴミ焼却施設と、その余熱を利用した「あづみ野ランド」の運営には、さほど高い関心がある様子もなく、毎年4億円近くのゴミ処理費を負担している安曇野市がそれでいいのかと、疑問を感じました。

審査の結果は、あづみ野ランドはゴミ焼却施設を建設した時の「めいわく施設の補償」として建てた施設であるから、地元の「プールはいらない、浴場の充実を!」の意向が最優先されるべき=陳情に反対が3人プールを残した改修に賛成=陳情に賛成が3人。賛否同数となったため委員長採決になりました。小林陽子委員長が賛成に回ったため、賛成多数となり、本陳情は委員会では採択と決定。

ところが、3月18日、3月定例会の最終日の本会議審議では、採択に賛成10人・反対11人で逆転不採択、たいへん残念な結果となってしまいました。以下、小林純子の討論です。僅差で採択に至らなかった状況から、市長も改修はどうあるべきか考えなおしていただきたいです。

◆「あづみ野ランド」のプール施設を含めた改修と良好な維持・運営を求める陳情書の採択に賛成の立場で討論します。
まず、只今の反対討論の認識について反論します。
あづみ野ランドは、地域の人々にとっては迷惑施設であるゴミ焼却施設を建設するにあたっての補償の一環で提供した施設なので、その改修についても地元地区の意向であるプール廃止を前提とした大規模改修で進めるべきとのことですが、そこにはいくつかの問題があり、奇しくも本陳情はそれらいくつかの問題を気付かせてくれるきっかけとなりました

問題の一つ目は、あづみ野ランドの改修は地元地区の意向のみを反映すればよいのかという点です。地元住民のための福利厚生施設として提供されたものとはいえ、10年20年とたつうちに安曇野市民をはじめ、組合構成市町村の皆さんが入浴だけでなく、プールを利用した水中運動で体力づくりや健康増進、病後のリハビリや障がい者の療養など、広く利用されるようになったあづみ野ランドです。利用している人々の意向も十分に反映されなければなりませんし、元はと言えば組合を構成する市町村の税金で整備した施設ですから、地元住民の意向だけで決まるというものではありません。

問題の二つ目は、改修費用をどう用意するか検討されていない事です。穂高広域施設組合の新年度予算に「プール廃止を前提とした大規模改修設計業務委託料3878万6,000円が計上されたというのですが、7億円とも言われる改修費用をどう調達するのか説明はありませんでした。説明もないのに予算を通した組合議会にも疑問を感じながら、個人的に聞いてみました。今あるゴミ焼却施設整備基金のすべてである6億円と、この1年間の売電収益1億円で7億円とのことでした。しかし、それでは基金がゼロになってしまいます。古いゴミ焼却施設の解体工事には5億円以上か、もっとかかるといわれています。松糸高規格道路のルートに、し尿処理施設が掛かっていて、移転するかどうするかということでも相当のおカネがかかります。地元住民の要望ということで、サウナ・水風呂・電気風呂・岩盤浴などを設置するとか、飲食施設やスポーツジムもという計画になっているのですが、そのために、今ありったけの7億円をかけて改修するのか、これまた大問題です

ここで、7億円の予算について重要な情報がありましたので、報告します。平成30年度に実施されたあづみ野ランドの老朽度調査の報告書を情報公開したところ、そこには44ページにわたって、あづみ野ランドの修繕改修の概算工事費がまとめられていました。今ある形を活かしプールも浴場もそのままの必要最小限の工事で、総額3億1,814万4,000円となっています。プールを残した改修だと11億円近くかかると説明されましたが、3億円ちょっとで改修する方法もあったのです。これを施設運営検討委員会に提示して検討してもらった結果が7億円の改修計画になったということですから、ここを再検討する必要があります。

そして問題の三つ目は、陳情者が良好な維持・運営を求めている点です
私は、この穂高広域施設組合議会の議員として平成15年から今日まで、断続的ではありますが10年間関わってきました。そして、ここ5年間ほどはあづみ野ランドの利用者としてお世話になっております。その長い関わりのなかで分かってきたことは、迷惑施設の見返りとして提供されたあづみ野ランドは、もとから収益性を期待されておらず、漫然とした運営が続いていたということです。平成23年ごろだったかと思いますが、組合の理事が「あづみ野ランドは自然消滅でいく」と言っていると聞き、妙に納得したことを覚えています

いつの間にか午前中の営業がなくなり、そうなると食堂の売上は伸びません、平成19年には食堂は廃止になりました。平成23年、スポーツジムで不祥事が起これば、それを改善につなげようとはせず、これまたさっさと廃止。熱交換器が故障したまま放置しているという話も聞きました。その頃から毎年の赤字が1千万円増えました。最近ではウォータースライダーも故障したまま、雨漏りも修繕されないままです。それなのに修繕費は毎年1千万円以上かかっています。再び、同じこの地にゴミ焼却施設を建てることになり、あづみ野ランドは自然消滅するわけにはいかなくなってしまいました。そして、これまでの施設運営のツケが一気に回ってきたのが今だということです。

以上、「あづみ野ランド」のプール施設を含めた改修と良好な維持・運営を求める陳情書は、あづみ野ランドの現状とその問題点をしっかりと捉えた内容であり、採択されるべきものと考え賛成討論といたします。