安曇野市議会3月定例会 小林じゅん子の一般質問(まとめ)

~誰一人取り残さない安曇野市の住宅政策に向けて~

市営住宅(明科)

「新型コロナ感染症の影響で収入が激減し、住まいを失う人たちが増えている」これは実は今に始まったことではありません。“普通に暮らしていた”人たちが住まいを失い路頭に迷うケースはコロナショック以前からありました。

2008年のリーマンショックと「年越し派遣村」を思い出してください。そして、それだけでなく、貧困・社会的孤立・精神的不安定・障害・家庭内関係の諸問題(DV、虐待、8050等)など、住まい(居場所)を失い困っている人の状況は深刻です。私も活動に関わっているNPO・サポートセンターとまり木の相談記録からは、松本、安曇野地域でも厳しい状況であることがよく分かります。

市営住宅(穂高)

今回の一般質問では、DV被害者の避難施設、生活困窮者や被災者の一時宿泊所、コロナショックなどの緊急対応の住居の現状を確認し、さらなる「誰一人取り残さない安曇野市の住宅政策の推進」について聞きました。

一つは、化学物質過敏症、シックハウス、アレルギー、香害などで、一般的な居住環境では生活が困難な方々は、中山間地域の古い公営住宅や空き家などの活用を望んでいるが、市の住宅政策として対応できないか。

二つに、入居率の低い教員住宅等の公共住宅を、シングルマザー専用シェアハウスにリノベーション(新たな機能、価値の再生のための改修)してはどうか。

三つに、公営住宅の目的と昨今の社会情勢を考慮して、保証人の確保や税の滞納がないことなどの入居者条件の見直しをすべきではないか。以上の具体的な課題として3点について質問しました。

公営住宅に「フレグランスフリー(香り製品等の使用をしない)」の物件を用意することや、あまり使われていない教員住宅をシングルマザー専用シェアハウスに改修することについては、残念ながら前向きな答弁はりませんでしたが、市営住宅の入居者条件の見直しについては、「検討する」との答弁がありました。これは、次の日の市民タイムスにも報道されたので、検討するだけでは終わりということはないと思います。

◆公営住宅の保証人の確保や税の滞納がないことなどの入居者条件の見直しについて
【小林質問】 市営住宅には入居要件として税金等の滞納がないこと、2人の連帯保証人を立てることがあり、この要件が入居の大きな障害となっている。現在、コロナ感染症の社会的影響によって、住宅を失った市民については、この要件を満たさない場合でも入居できるよう配慮しているが、これは本来、市営住宅の目的(住宅に困っている低所得者向けに安い家賃で提供する)からしても、また昨今の少子高齢化の社会情勢からも、保証人の確保や税の滞納がない等の入居要件は無くすべきではないか。

【都市建設部長】 本市では、滞納家賃に係る保証を入居時家賃の3カ月分に相当する額まで、原状回復保証については10万円までが上限である。この家賃保証の上限は、県内では20カ月分までとする自治体が多い中で、本市は低く設定している。

【小林質問】 2人の連帯保証人を立てることは非常に難しい社会状況がある。入居希望者の両親・親族など連帯保証人に想定される人々が高齢化しており、65歳以下の保証人を立てるのは困難。家賃保証保険に加入することで入居できるようにしてはどうか。令和2年の保証人の取扱いに関する国交省通知の後、保証人要件をなくした自治体が424、免除する場合があるとした自治体が677で、全国市町村の約半数が対応済み。本市はどうか。

【都市建設部長】 保証人に代わる制度等、もう少し入居の条件緩和ができる方法がないか調査していく。今後の社会情勢を見つつ、見直しを検討していきたい。