貯木場は満杯に/松枯れ被害さらに深刻 小林純子議員、委員会で質す

~市民ネット横地泰英さんから届いた傍聴記です~

明科押野の土取り場跡地に整備した貯木場

 今回の6月定例議会は議案が少なく(最終日に安曇野市議会基本条例案が提案されますが)、委員会審査も短時間で進行しているようです。
 昨日の環境経済委員会、特に農林部の審査では補正予算案しかなく、委員長が「すぐに終わってしまうかもしれない」と心配する姿もありました。それでも補正予算の審査には幾つか質疑もあり、40分ほどかかって特に問題なく可決しました。

 その後、委員長から「議案以外で農林部の方から報告事項はないか」との問い掛けがあり、わたしは内心「あのことが報告されるはず」と思っていたので、農林部長が「特にありません」と答えたのには「?」「!」びっくりでした。
 なにがそんなに「びっくり」だったかというと、安曇野市が独自に取り組んでいる先進的な松枯れ対策の現状と課題について、この機会を逃したら議会にも市民にも説明責任が果たせないことになるからです。(松枯れ対策について聞けると思って傍聴にみえた方々からも「なにもないとは驚いた」という声がありました)

 新規に導入する薪ボイラーも決まり、薪割機(輸入品の大型のもの)も稼働し始めました。先月だったか、農業ハウス用の新型薪ボイラーの使用状況を市職員が視察したとも聞きました。今日からは無人ヘリによる薬剤散布も部分的・試験的に始まりました。昨日今日と信濃毎日新聞に「松本・安曇野 松枯れを問う」という記事が掲載され、安曇野市の更新伐や地域住民の薪づくりの取り組みが紹介されています。その一方で塩尻市と県のバイオマス発電は頓挫しそうな話も聞こえてきます。それやこれやで農林部からなんの話もないとは、おかしなことです。そんなわけで、私が気になっていること3点について聞きました。

◆貯木場は満杯に/松枯れ被害さらに深刻 小林純子議員、委員会で質す

 安曇野市6月定例議会は2013年6月19日(水)、環境経済委員会(丸山祐之委員長、4人)を開いた。小林純子議員は松枯れ被害について、安曇野市の取り組みを質問。被害はますます深刻となり、市の対応は困難を増していることが分かった。

 小林議員は①天平の森の薪ボイラー導入事業の進捗状況 ②明科の更新伐は10ha分を完了、貯木場にうずたかく積まれた。全体で40haだが、進捗状況はどうか ③伐採した材の行き先は塩尻のバイオマス発電だが、この事業は計画倒れの部分がある。県とどういう話をしているのか、と3点を質した。

 山田農林部長らは「松枯れ対策に頭を痛めている」と答え、①天平の薪ボイラーは建物の建築許可が近く降りる。薪づくりには2名を緊急雇用し、被害木を極力ボイラーで燃やし、その効率を検証する ②更新伐は昨年から始まった。安曇野市がいち早く手を挙げた。アカマツはいずれほとんどが松枯れ被害を受ける。明科・押野の土とり場跡の貯木場は今年度だけでほぼ満杯になってしまうだろう ③バイオマス発電は県、塩尻市、企業、大学の連携事業だが、とてつもない規模の事業だ。塩尻市から安曇野市も一部関わってほしいと要請がある。こちらからは、押野の貯木場が満杯になってしまうため、平成27年の施設稼働より1年早く、材のストックを塩尻の方へ搬入させてほしいと伝えた。などと説明した。

 小林議員は「この事業は、エネルギー・環境問題の重要なテーマ。松枯れ対策で更新伐に先駆するなど、農林部の取り組みを評価する。課題は山積しているが一つひとつ丁寧に解決してほしい。例えば、天平で使う薪割り機がいま、押野の貯木場で作業している。薪づくりの意義を市民に知ってもらうには、天平でやる考えがあっていいのではないか、と指摘した。塩尻市のバイオ発電については「半径50km以内から材を集め年間30万㎥燃やすという発電計画は、その後21万㎥にダウンしたこともあり先々不安」としたうえで「1年内に材を運ぶという計画は大丈夫か」と念を押した。

 農林部は「稼働に先んじて材を運ぶというのは、まだ確定していない。塩尻市にはまだ松枯被害が出ていないので、被害木をそのまま運び込むことは避け、木材をチップにして搬入するように変更された」と明らかにした。

 小林議員は塩尻の計画を頼りにしていると共倒れが心配。安曇野市内で有効活用するようなやり方へ方向転換も考えるべきではないか。安曇野独自に地域を生かし、観光・福祉と連携を取り、安曇野モデルを全国発信したらどうだろうと提案。農林部長は「今後いろんなセクションを集めて検討する」と答えた。